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変色系男子の日常。

憂鬱と遠藤周作とメタファーについて

久々に心の臓を握りつぶすような憂鬱が来て、今日は会社を休んだ。昼間に見た、忍者スナイパーになった夢が、やけに心地よかった。遠くからスナイパーライフルで敵を射撃し、先端に鉤爪のついたワイヤーで颯爽と移動する。そんな忍者スナイパー。

以前、同じように憂鬱に蝕まれていたとき、たまたま読んだ遠藤周作の「悲しみの歌」に癒やされたのを思い出した。話自体は非常に退廃的で悲しいものなのだが、どこか心を平穏にする作用があった。だから今回も遠藤周作の作品を読んでみようと心に決めた。そして夜に「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。」という作品を読んだ。

悲しみの歌 (新潮文庫)

悲しみの歌 (新潮文庫)

タイトルだけだと「何の本やねん!?」という印象しかないが、これはよい文章、特に誰かに送るための文章の書き方を指南する本だ。その概要や感想は今回の趣旨から外れるので省略する。

この本の中で著者はとあるゲームを提案していた。それは極めて簡単なもので、「○○のような夕暮れ」の○○に入る言葉を考えてみるというものだ。つまりメタファー (比喩) を考えるということだ。ただし「燃え盛る火の玉」のように、誰でも思いつくような例えや使い古された表現は NG だ。あくまでオリジナリティを追求するのが、このゲームの目的だ。これは、よい文章を描く秘訣のひとつに「使い古された決まり文句を使わない」ことが挙げられていることに関係している。

村上春樹にハマって依頼、そういうメタファーを考えることが大好きになったので、このゲームはすごくいいなと感じて印象に残った。まさか気の利いたメタファーを考えることが、よい文章を書くことに繋がるとは。行き詰ったピクロスの解法がふと思い浮かんだときのように、自分の中で色々と繋がった気がして、気がつけば憂鬱はかなり薄れていた。憂鬱に対する特効薬のひとつは没頭だね。