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変色系男子の日常。

街の目立たない定食屋さんの活躍について

今日は飯塚に出勤した。僕がこの地に赴いたときに最も困るのが、お昼ごはんの選択肢の少なさだ。昼休みを迎えるたび、同じ CM を何度も何度も見せられるときのようなうんざりした気持ちに陥って気が重くなる。

ところが、今日の昼はついに新しい風が芽吹くことになった。同僚の提案で、始めての定食屋に行ってみることにしたのだ。会社から車で 5 分程度の場所にある、少々うらぶれた外観のお店だ。

スライド扉を開けると、こじんまりとした店内は、それなり数のお客さんで埋まっていた。内装は以前は焼き鳥屋だったかのような様子で、細長いカウンターと奥に小さな座敷が 2 テーブル。カウンター席は 7, 8 割がた、薄汚れた作業服あるいは少しくたびれたスーツをきたおじさんで埋まっている。座敷は 2 人のおじさんが専有していたが、団体客の僕らが来たのを見て、すぐに座敷を譲ってくれた。気のいい人たちだった。

僕以外はみな、ワンコインの定食を頼んでいたが、僕は +150 円でチキンカツ定食を注文してみた。この少しの差額がクオリティの明暗を大きく分けると直感したからだ。そしてこの直感が功を奏した。運ばれてきた定食には、一般的な家庭で作られたような小ぶりで無秩序にうねったカツたちが盛り付けられていた。かなりのボリュームだ。僕の前に座っていた後輩たちのうらやましそうなまなざしが痛い。

見た目はいたって普通だが、口に入れると非常に柔らかくてジューシーで面を食らった。これは高級な食材を使っているせいではなくて、料理人の熟練した腕によるものだと思う。そして、カツに含まれる作り手の優しさと、偶然この店に足を運んだ僕を朗らかに歓迎してくれる何か不思議な存在。それらがミステリアスに調和して味覚に作用するのを感じたのだった。

店を出ると、心に巣食った暗澹は姿を消し、清々しさが入れ替わりにやってきた。僕の知らないところでこういう素敵な定食屋さんが粛々と料理を提供して、人々の胃袋を満足させていることを知って、少しだけ感動した。食べログに口コミのひとつも載らないほどひっそりとしたお店。そういうお店たちがたくさんの人々の原動力となって、この世界を支えているのだ。