会話における愛情と理解について
僕は会話が苦手だというコンプレックスを抱えている。より厳密に言えば、話しかけるのはそんなに苦手ではないけれど、会話を継続させるのが苦手だと思っている。だから、僕は「懇親会」というものが、この世で一番苦手な野菜のプチトマトよりもさらに苦手だ。
少しでも克服しようと吉田尚記さんの著書を読んだりしているが、なかなか苦手意識が拭えない。
- 作者: 吉田尚記,ヤスダスズヒト
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2015/01/31
- メディア: 単行本
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コミュ障は治らなくても大丈夫 コミックエッセイでわかるマイナスからの会話力 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 作者: 水谷緑,吉田尚記
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そんな僕が、今日カフェですばらしい文章に出会った。それは昼休みに職場の近くのベローチェで、村上春樹の「回転木馬のデッド・ヒート」を読んでいたときのことだ。
- 作者: 村上春樹
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(前略) インタヴュアーはそのインタヴューする相手の中に人並みはずれて崇高な何か、鋭敏な何か、温かい何かを探り当てる努力をするべきなのだ。どんなに細かい点であってもかまわない。人間一人ひとりの中には必ずその人となりの中心をなす点があるはずなのだ。そしてそれを探りあてることに成功すれば、質問はおのずから出てくるものだし、したがっていきいきとした記事が書けるものだ。
その文章は昨晩見たスーパームーンのように、神秘的で温かなひかりを放っているように見えた。これは村上春樹が発見したインタビューの秘訣を説明したものだけど、日常会話にも適用できると思う。吉田尚記さんも著書の中で「会話において重要なことは、たとえかりそめでも、相手に興味を持つことだ」と言っていた。確かに会話の中に、その人独自の価値観やその人の根幹をなす何かを垣間見れれば、聞き手としてはとてもおもしろいと思う。まるで、鉱脈を求めて掘り進む発掘者のようじゃないか。そして、人はたいてい自分を知ってほしいという欲求を持っているはずなので、話し手としてもこの上なくうれしいことだろう。つまり Win-Win だ。
そしてこの文章のある段落は、最後にこう締めくくられている。
それがどれほど陳腐に響こうとも、いちばん重要なポイントは愛情と理解なのだ。
やはり大切なのは 💖 だよ!
というわけでみなさんも一緒に、普段の何気ない会話の中で、あふれんばかりの愛情と聡明な理解を発揮してみないかい?